脳卒中とは
テレビやネット記事で脳卒中という言葉をよく耳にするようになりました。この記事をご覧になっている皆さんも、脳卒中が何となくまずいものであることは知っていても、「脳卒中って何?」って聞かれると「えーっと…」と答えに詰まってしまう人も多いのではないでしょうか。
脳卒中とは、脳の血管が何らかの原因によって破綻し、脳の機能に障害をもたらす疾患のことです。専門的には脳血管障害と表現されます。医療従事者でない方にとっては、今の説明では難しかったかもしれませんので、難しければまずは「脳卒中」と聞いたら、「脳の血管の病気なんだ!」と理解するようにしましょう。
では、血管の病気ということはわかりました。具体的にはどのような疾患があるのでしょう。脳卒中の代表的な疾患としては、脳の血管が詰まることが原因でおこる脳梗塞や、脳の血管が破れることでおこる脳出血やくも膜下出血などが挙げられます。詳しく見ていこうとすると、他にも脳卒中に分類される疾患もあるのですが、ここでは上で挙げた3つの疾患があるんだな、とそのくらいに理解しておいてもらえば十分です。
各々の疾患については、他の記事で詳しく説明していきますので是非そちらをご覧ください。
脳卒中は時間との勝負!
いずれのタイプの脳卒中であっても、発症からいかに早く治療を開始することが出来るかというのが極めて大切です。脳卒中になったら対応のしようがない特に脳梗塞では発症から4.5時間以内であればt-PAという薬剤を使用して血栓を直接溶かすような治療も可能です。また、発症から24時間以内(特に6時間以内)であればカテーテルを用いて直接血栓を取り除く方法を行うことが出来る場合があります。発症から早期に治療を行うことで、全く後遺症なく退院する患者さんも珍しくはありません。
ご自身、もしくはご家族さんに脳卒中を疑った場合はすぐに119番通報をして病院へ行きましょう!
脳卒中の症状は?
「脳卒中を疑ったらすぐに119番通報して病院へ!」と言われましても、どんな症状が出れば脳卒中を疑えばよいのでしょうか。
一般的に脳卒中になったら様々な症状が出現し得ます。脳卒中を見慣れている医療従事者の方であれば「脳卒中の症状といえば麻痺だろ、そして構音障害、口角下垂もおこるよな。病変が大きかったり場所が悪ければ、意識障害もおこるだろうし、場合によっては共同偏視、失語が…」なんてサラッとかっこよく得意顔で言えるかもしれません。でも医療従事者であってもこんなにさらっと言える人ばかりではありませんよね。ましては、医療に携わらない一般の方にとってはこんなこと言われても「は?」って感じです。
ただ、ここでさらっと症状が出てこなかった人も安心してください。「この症状出てきたら脳卒中が疑わしいから絶対に救急車よんでね!」っていう症状を以下に3つ紹介しますので、まずはこれだけ抑えてください。
- 「Face: 顔の片方が下がったりゆがみが出る」
- 「Arm: 片腕に力が入りにくい」
- 「Speech: 言葉がしゃべりにくい、言葉が出てこない」
これらの3つのうち1つでも症状が当てはまれば脳卒中である可能性が高いです!これらの症状を認めたら脳卒中を疑ってすぐに救急車を呼びましょう。
脳卒中の「FAST」については以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
脳卒中のFAST皆さんは脳卒中の「FAST」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。これは、「脳卒中が疑わしいときはすぐに病院に来てね!」という啓発のために作られた言葉で、脳卒中の代表的な症状である「Face:顔面麻痺」、「Ar[…]
「FAST」に限らず脳卒中の症状全般につての詳しい説明についても、また別の記事でまとめることとしますので、興味のある方はそちらもご覧ください。(記載したらリンクを掲載します。)それでは今回はこれくらいとします。
まとめ
- 脳卒中とは脳の血管がやられて脳の機能に障害がもたらされる疾患のこと!
- 具体的には脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」、「くも膜下出血」がある
- 「Face: 顔の片方が下がったりゆがみが出る」、「Arm: 片腕に力が入りにくい」、「Speech: 言葉がしゃべりにくい、言葉が出てこない」のいずれか1つでも症状を認めたら、脳卒中が疑わしいのですぐに救急車をよぶ!