シルビウス裂とは
シルビウス裂(sylvian fissure)とは前頭頭頂葉及び側頭葉の間の隙間のことを言い、pterional approach(蝶形骨縁到達法) を中心とした脳神経外科手術に必須の知識となります。
脳神経外科医を志す者にとって、シルビウス裂の同定は脳神経外科手術の基礎となり、避けて通ることはできません。
シルビウス裂を同定する方法は、いくつかありますが、一番一般的で簡単な同定法はOM lineを用いる方法ではないでしょうか。こちらに関しては、聞いたことがある方も多いかもしれません。
OM lineを用いる方法以外にも実はいくつか方法があります。ここではレイド線を指標にする方法、テイラーホートン線を指標とする方法、OM lineを指標とする方法の3つを紹介していきます。
レイド線を用いる方法
まず初めに、レイド線を用いる方法を紹介します。
レイド線というと聞きなれない方も多いかもしれませんが、レイド線とは眼窩下縁と外耳孔上縁を結ぶ線(A)のことです。
次にこのレイド線(A)と平行な線で、眼窩上縁を通る線(B)を引きます。
Aに垂直で、頬骨弓の中点を通る線(C)と乳様突起後縁を通る線(D)を引き、続いて、BとCの交点からDと頭頂部との交点に線(E)を引きます。
EとBの成す角の二等分線の内、Dと交差するまでの部分がシルビウス裂となります。
この方法は少し煩雑で位置を想定するまでに時間がかかりますよね。
それより簡略な方法がこれから説明する2つになります。
テイラーホートン線を用いる方法
テイラーホートン線とは眼窩下縁と外耳孔(A)を通る線のことです。
この方法では、このテイラーホートン線(A)をbaselineとし、乳様突起を通り(A)に垂直な線を置きます。
次いで、Nasionからinionを結ぶ線の後ろ3/4の点と外眼角を結ぶ線とposterior ear line(C)が交わった点から内側がsylvian fissureと推定することができます。
OM lineを用いる方法
上の2つの方法は、実際のところ少し難解ではなかったでしょうか。上記2つと比較して、圧倒的に簡単にシルビウス列を同定できる方法がOM lineを指標とした方法です。
まず眼窩と外耳道を通る線をOM line(A)として置きます。それに垂直かつ、外耳道を通る線をOM lineから6cm上に引き、そこから眼窩にかけて、sylvian fissureであると推測することができます。
この方法、とにかく簡単なので一番お勧めです。
まとめ
以上がシルビウス裂を同定する方法になります。
説明の量から見てもわかるように一番最後に説明したOM lineを用いる方法が簡略でいいですよね。個人的には、この方法を用いることが多いです。
なお、このシルビウス裂は鱗状縫合(squamous suture)の位置と近似していますが、それは眼窩近くにかけてであり、そこから離れるほど、シルビウス裂と鱗状縫合が離れることは心に留めておいてください。
では、実臨床の場面で役立ててみてくださいね。