FAST|医師が解説「こんな症状が出たら脳卒中を疑え!」

FAST|医師が解説「こんな症状が出たら脳卒中を疑え!」

脳卒中のFAST

皆さんは脳卒中の「FAST」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

これは、「脳卒中が疑わしいときはすぐに病院に来てね!」という啓発のために作られた言葉で、脳卒中の代表的な症状である「Face:顔面麻痺」、「Arm:上肢麻痺」、「Speech:言語障害」と「Time:時間」の頭文字を合わせて、英語の「早い」という意味が掛けられています。これらの症状のうち1つ以上が見られた場合、脳卒中である可能性が高く、これらの症状を認めた場合はすぐに病院へ行き治療を受ける必要があります。

「脳卒中のを疑ったら、そりゃあすぐに病院へ行くよ~!」と皆さん思うかもしれませんが、下のリンクの記事にも書いた通り、脳卒中を発症しても様子見をして時間が経ってから病院へ来る患者さんも決して少なくありません。皆さん、意外と、「こういう症状が出たら脳卒中が疑わしいですよ」っていうのを知らなかったり、知っていても、「え、脳卒中の時ってそんなに早く病院に行かないといけなかったの?」と、まあこんな感じなんです。

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日本における脳卒中の現状

脳卒中が疑われる症状

まずは、「FAST」の中身から見ていきましょう。

それでは脳卒中の「FAST」に表現されるそれぞれの症状ついて詳しく見ていきましょう。

  1. F:Face Drooping (顔面の傾き)
    片方の口角が垂れていたり、笑ったときに非対称だったりする。
  2. A:Arm Weakness (片腕の筋力低下)
    片方の上肢に力が入りにくくなる。両手を前に出して片方の腕が下に落ちてくるようであれば心配です。
  3. S:Speech Difficulty(言語障害)
    呂律が回らずにしゃべりにくかったり、言いたい言葉があるのに言葉が出てこなかったりする。
  4. T: Time (発症時間)
    すぐに119番通報をし病院へ行きましょう。

もしこれらの症状のうち1つ以上が該当すれば、脳梗塞である可能性が高くなってきます。

脳卒中から患者さんを救うためには、これらの情報を一般市民に知ってもらう必要があります。それには、啓蒙活動が非常に大切です。

啓蒙活動の実例

「FAST」を用いた啓蒙活動はアメリカでは活発に行われていて、アメリカ心臓協会(AHA)やアメリカ脳卒中協会(ASA)が中心となってテレビや電車などの広告で脳卒中の啓発活動を行われています。

実際にテレビなどで下に掲載するようなCMを流しながら、市民への啓蒙活動を行っています。

このような動画を皮切りに、ミュージシャンとコラボレーションなどしたりした啓発活動も各地で行われていたりします。また、下記に掲載するようなポスターを使用した啓蒙活動も盛んです。

【出展】American heart association

日本においても、啓蒙活動の重要性が言われてきており、次第に広がりを見せています。Youtube上で著作権の問題がない動画を探すことができなかったのですが、ACジャパンと日本脳卒中協会がコラボレーションして広告を作成したりする活動も小規模ではあるが行われてきていようです。また、上述のFASTを利用した啓蒙活動も行われてきており、日本版のポスターも作られているようです。

いずれにしても今後、日本においても同様に啓蒙活動が活発化していき、脳卒中の患者さんができるだけ救われるような社会になればいいですね。こちらの記事をご覧になった方は、是非周りの方にも教えてあげてください。